共生窒素固定の研究

第一回 18th International Congress of Nitrogen Fixation(ICNF)
October 14-18.2013 Phoenix Seagaia Resort Miyazaki.Japanに出席して

NPO法人 日本バイオ技術教育学会
理事長 小野寺 一清

 此度、南澤究(東北大学・教授)会頭の下で、我国で初めて生物窒素固定に関する国際シンポジウムが宮崎市で開催されました。私は1967年3月、東京大学農学部から「共生窒素固定の研究」で農学博士をいただきました。45年振りに、生物窒素固定研究の第一線の多くの研究者の研究を勉強することが出来、私にとって貴重な経験をすることになりました。

 当時研究していた時に不思議に思ったことは、当然のことですが明らかにされたものも多くありました。

  20世紀の大発明といわれるハーバー・ボッシュ法で知られている化学工業として窒素固定は1920年頃にはドイツで中心的な役割をはたしていたことは大きなへだたりを感じることでしょう。生物学の知識が遅れていたことを意味します。

  窒素(N2)は農業では重要な元素である。生体を形成する分子である。タンパク、核酸などの構成に不可欠なものでもある。空気中に多量に存在するN2を利用できる動物、植物はいない。食の連鎖により自分より弱い他の動物や植物を食べることによって、我々は生きつづけることが出来るのである。N2は還元されてNH3(アンモニア)に変換されなければ、生物はN2を利用出来ない。この反応を生物窒素固定と呼んでいる。

  この反応はProkaryote(原核細胞)が行っている。真核細胞(大豆の根粒)が窒素固定をしているように見えても、大豆の根の細胞にRhizobiumという微生物が入り込んで、根の細胞はbacteroidと呼ばれる特別に分化した組織を作り、その内で成育したRhizobiumがN2固定を行っている。植物は光合成によりCO2固定によりエネルギーを提供して、また植物のレグヘモグロビン遺伝子が活性化されて、ヘモグロビンの作用により酸素濃度を減らして、還元反応である窒素固定を可能にして、Rhizobiumは初めて窒素ができるようになるのである。英語ではsymbiotic nitrogen fixationと表現される。共生していない場合をfree living nitrogen fixationと表現している。

  1967年の春、現象的にはこれくらいのことはすでに分かっていましたが、その機構は明らかではなかった。例えば無効根粒というものがあり、ある種のRhizobiumの変異体によるものであることも分かっていた。この変異株では植物の遺伝子から読み取られるleg hemoglobinの生合成が起こらず、bacteroidの中で共生するRhizobiumは遊離のO2が多すぎてN2固定をすることが出来ないというのが、当時この現象の説明であった。

 これは現在の言葉でいうと、植物の遺伝子と微生物であるRhizobiumの遺伝子の相互作用(クロストーク)があると表現されている現象である。

  45年経った今、どの様なことが解明されて、どのようなことが解決されていないかを勉強することが出来た。

 このような新知見については次回に詳しくお話をしたいと思います。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする